MCSは 、ロンドンは ウィグモア・ホールのあるメリルボーン地区の
“モンタギュー・スクウェアー”で丁度今から十年前の 5月 21日 に産声をあげました。
当初は自宅を使ったサロン・コンサートでしたが、
それがいつの間にか両隣の家でもコンサートを開催させていただくようになり、
我が家の隣の広場のお宅にと、とうとう数ヶ月の間に、隣近所7カ所で二週間おきに催しを企画するようになってしまいました。
最初は学生の演奏で、正に聴いて戴くという事で感謝の意味も込めてシャンパ ンとカナッペ をお出ししていました。
シャンパンの試飲会をするから、その前に演奏をというふうにご近所の方々が今度は我が家で企画して下さいと、
シャンパンか音楽かという感も無きにしも非ずでしたが、いつの間にかそれが定着し、
地元の住民や知り合いだけではなく段々仲間増えて行きました。
会員数 が100を超えたあたりから、ちゃんとした名前をつけなければ ということになり、
誰かが言いだして メリルボーン・シャンパン・ソサイアティー となりました。
当初は、まさか会員が増えて継続性のある会になるとは想像だにしなかったので、これでいいかと誰もが思っていました。
入場料をいただくようになり、ただサロン・ コンサートでシャンバンを飲むだけでは能がない、未来の音楽家を支援しようと、
初めて少額の奨学金というには程遠い支援金を5名のお音楽院の学生に提供することになりました。
紆余曲折があり、年齢26から33歳までの将来演奏家として活動するであろう人を3年から5年に渡りー人撰び支援するという
今のMCSSTUPENDIUMという賞になり、最初の受賞者にセルゲイ・ソボレフが選ばれました。
コンサート回数50回をこなし、2016年からは第二回生の二人のビアニスト、セルゲイ ・カスパ ロフ、フィリップ・コパチェアスキー、アンドレイ ・ググニンにバトンが引き継がれました。
その一人、アンドレイ ・ググニンが、この度シドニー国際ピアノコンクールに優勝いたしました。
ここまで10年かかってしまいましたが、今ではかつての隣人が、アメリカやスイス、ウィーンなどに戻り、外国でもサロン・コンサー トや小さな演奏会をするようになりました。
日本でも、帰国された方々が何人もおられ、皆んなで未来のアーチストを支援した温かい気持ちを大切に、ロンドンでの小さなサロン・コンサー卜を思い出して戴くべく今回の公演を皆様の御協力の元に開催させていただきます。