まいぷれ編集部(舞鶴・綾部・福知山・宮津・与謝・京丹後)オススメのお店
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舞鶴市の西舞鶴駅から徒歩5分、マナイ商店街に店を構える「お肉ソムリエのいる精肉店ABCフーズ」。店名の通り、お肉ソムリエの資格を持つプロが厳選したA5ランク黒毛和牛をはじめ、希少部位からホルモンまで幅広い品揃えで地域の皆様に愛され続けています。福知山にも店舗を展開し、京都府北部エリアの食文化を支える重要な拠点となっています。
今回は、店舗運営に携わる田村寿英さんに、精肉店としてのこだわりや、大規模チェーン店などとの違いについて詳しくお話を伺いました。同店は北都信金からソーシャル企業の認定を受け、舞鶴市のふるさと納税では寄付件数が2022年から3年連続1位で殿堂入りを果たすなど、地域からの信頼も厚い老舗精肉店です。

A5ランクにこだわる理由について、田村さんはこう説明します。
田村さん:
「美味しい赤身を使いたいというところからA5を使っています。A5の中でも脂どけの良いもの、香りの良いものを好んで使っています。ブランド牛ばかりではないですが、産地にもこだわりがあります。BMS10以上を使うと、自然とブランド牛になっていることが多いんです。たまに松阪牛や神戸牛で作ってみることもありますが、値段は通常販売価格と変えずに販売しています。つまり、ブランド牛を普通の値段で提供していることもあるんです」
田村さんが持つお肉ソムリエの資格は、日本安全食料料理協会によって認定されるもので、お肉に関する幅広い知識を有する人に贈られる資格です。この専門的な知識を活かし、全国から選び抜いた黒毛和牛を提供されています。

同店がA5ランクにたどり着くまでには、実は長い道のりがありました。
田村さん:
「以前の店は普通の精肉店でした。以前経営されていた方から引き継いだ形で、現在の社長に変わったタイミングでどんどん良いものに変えていったんです。最初から A5ランクの肉だったわけではなく、お客様に『美味しい』と言っていただけるよう、だんだんランクを上げていきました。社長のこだわりとしていいもの、いいものというのをたどり着いたのが、今のA5ランクです」

地域との繋がりを大切にする同店では、京都府産の黒毛和牛「京の肉」も積極的に取り扱っています。
田村さん:
「現在、京の肉という京都のお肉を地産地消という形で販売しております。地元で育てられた質の高いお肉を、地元の皆様にお届けすることで、地域経済の循環にも貢献できればと考えています。品質的にも決して他県産に劣ることなく、むしろ地元ならではの安心感もあって、お客様からも好評をいただいています」
一般的なスーパーマーケットと精肉店では、お肉の処理方法に大きな違いがあると田村さんは語ります。その差は、お客様が実際に食べる時の満足度に直結します。
田村さん:
「お肉は塊のまま入荷してきます。それを整形するのが精肉店の技術なんです。例えば牛肉でも脂がついた大きなブロックが来て、それをきれいに脂を取ったりします。精肉店の場合は、2キロの袋に入っている鶏肉などを手を加えずにパックに詰めるようなことはせず、残骨などが残っていないかチェックして、きれいに整形をするんです」
特に鶏肉の処理では、その技術の差が顕著に現れます。
田村さん:
「鶏のもも肉を食べていて、歯に何か当たったことはありませんか?軟骨の端っこなどが入っていることがあると思います。精肉店の場合はいらない脂や筋のような白い繊維も綺麗に取り除きます。袋から出してそのままパックに詰めるようなことはしません。この整形の技術が、精肉店ならではの安心・安全につながっています」
また、お肉の品質を保つための工夫も随所に見られます。
田村さん:
「お肉は重なると酸化して黒っぽく色が変わってしまいます。それを防ぐために、一枚ずつラップでくるんで販売しています。特にギフト商品やしゃぶしゃぶ用のお肉など、お肉一枚一枚をラップでくるんでお出ししています。手間はかかりますが、お客様に最高の状態でお肉をお届けするためには欠かせない工程です」

A5ランクの霜降り肉は温度に非常に敏感で、適切な温度管理が品質保持の要となります。
田村さん:
「A5ランクは霜降りが多く、温度に弱いんです。高温になると霜降りの脂が溶けてきてしまうため、室内の温度管理も徹底しています。特に夏場は細心の注意を払っています。これも当店の強みの一つですね」

同店の大きな特徴の一つが、豊富な部位の取り揃えです。バーベキュー用だけでも60種類以上、ステーキ用でも10種類以上の部位を用意しています。
田村さん:
「精肉店ならではの豊富な品揃えが当店の自慢です。焼肉BBQ用なら60種類以上、ステーキだけでも10種類以上の食べ方ができます」
田村さん:
「聞き慣れない部位としては、クリ(牛の肩部分の赤身肉)、ヤリ(肩甲骨周辺の希少部位)、千本チマキ(もも肉の一部で筋が多く入った部位)、クランケ(後脚の付け根部分)、カイノミ(バラ肉とサーロインの間の希少部位)、中落ちカルビ(あばら骨の間の肉)、ランプ(腰からお尻にかけての赤身肉)、イチボ(お尻の先端部分の希少部位)などの希少部位も店頭に並んでいます。置いている店がかなり少ない変わった部位です」

カイノミ

クリ

ウワミスジ

中落ちカルビ
特に田村さんがこだわりを持って扱っているのが、牛の前足部分の部位です。
田村さん:
「今メインに扱っているのが前足なんです。牛って不思議で前の方が味が濃いんですよ。後ろ足と比べても、前足の方が運動量が多いため、筋肉が発達して味が濃くなる傾向があります。最近は霜降りよりも味が濃くて赤身の肉が美味しいという方が増えていて、シフトチェンジしたんです。前足をよく使うので、ミスジ(前脚の筋肉部分)、トウガラシ(前脚の赤身部分)、ウワミスジ(上腕部分の筋肉)など、そんな変わった部位を焼肉用に切ったり、バーベキュー用にしています。旨味の濃い赤身肉を食べられるというのが特徴の一つです」

ホルモンの取り扱いでも、同店は革新的な技術を導入しています。
田村さん:
「ホルモンでも部位がたくさんあるんです。ミノ(第一胃)やセンマイ(第三胃)、ハツ、レバー、アカセン(ギアラ)、テッチャン、丸腸、小腸、和牛ハラミ、和牛サガリ、和牛タンなど、そういった部位が単品で買えるというのは、なかなか普通の精肉店でもない品揃えです。特に牛タンにはこだわっており、10種類以上の品揃えがあります!」

この豊富な品揃えを可能にしているのが、同店が導入している最新の瞬間冷凍技術です。
田村さん:
「マイナス40℃のショックフリーザーという瞬間冷凍機を導入しまして、ブラストチラー&ショックフリーザーを採用しています。冷凍でパーツごとに、ホルモンで言うと店頭に冷凍で200グラムの真空パックで並べています。普通の冷凍だとホルモンは品質が悪くなってしまい、おすすめできないんですけど、鮮度の良い状態で瞬間冷凍しているので、ドリップも少なく、旨味が残った状態でお渡しできます。水分が氷の結晶になる温度帯の通過時間が長いと氷の結晶が大きくなり、細胞を破壊してしまいますが、最大氷結晶生成温度帯を早く通過することが重要で、マイナス40℃の冷気で一気に凍結し、細胞を壊さないことがポイントなんです」


当店の自慢は、お客様一人ひとりとの対話を通じた提案力にあります。
田村さん:
「普通のお客さんって、バーベキューをするとなった時に何を買ったらいいかわからないという方が多いんです。そういった時に、予算や好み、人数などを聞きながらメニューを組んであげることができるのが、うちの接客の売りです。『何人で、子供さん何人で、他に何か用意しているのか、魚もあるのか』といったことを詳しく聞いて、他の料理とのバランスも考慮しながら、柔軟にご提案できるのが当店の強みです。予算1万円ぐらいなんだけど、何とかしてくれるという感じで言っていただければ、ある程度聞いて予算内に収めるということがだいたいできるんです」
この対話型の接客により、お客様に満足していただけるプランを提供しやすくなっています。

精肉だけでなく、手作りのお惣菜も同店の人気商品です。
田村さん:
「午前中にすぐ完売するコロッケが人気で、メンチカツ、そして金曜日はから揚げ、ハンバーグ、牛すじなどを販売しています。普段はないけど、金曜日だけ販売しているんです。毎回ほとんど完売するんです。全部自家製で、冷凍食品を使っているわけではなく、全部手仕込み、手作りで作っています」

特にから揚げは地域のイベントでも大人気で、その人気ぶりは驚くべき数字に表れています。
田村さん:
「夜の市などのイベントで、1日150キロを完売する人気商品です。本当に人気のから揚げなんです」


同店を代表する商品の一つがローストビーフです。年間製造量は約5トン、6万食以上を販売する看板商品となっています。
田村さん:
「ローストビーフを作り始めたきっかけは、社長が「作るなら美味しいものを」という思いからでした。そこで、A5ランクの牛肉を使い、どんどんブラッシュアップして、今ではBMS10から12という形になりました」



同店は地域の官公庁、学校給食、老人ホーム、飲食店への卸も一手に担っています。
特に注目すべきは、飲食店からの特別な依頼にも対応するオーダーメイド製造サービスです。
田村さん:
「飲食店さんから『つくねを作ってください』というご依頼をいただくことがあります。自分のところで人がいないとか作れないという時に、レシピを渡していただいて、こちら側のABCで、そのレシピをもとに作って、使いやすいグラム数に合わせて納品したりもします。これはあまり受けているところがないですね。なかなかいないと思います」
このような飲食店向けのオーダーメイド製造により、地域の飲食店の運営をサポートし、地域の食文化を支える重要な役割を果たしています。
品質へのこだわりは、細部にまで及びます。特にミンチの扱いには、他店では見られない徹底したこだわりがあります。
田村さん:
「ミンチはお客さんの注文が入ってから挽くようにしています。ひき肉の状態では店頭に並べません。ミンチが一番酸化しやすく品質が悪くなるんです。包丁が何度も入るので酸化が進みやすく、何せ悪くなりやすいので、注文をもらってから新鮮なものをお渡ししています。結構ミンチだけ買いに来たりするお客さんも多くて、『ここのミンチは全然違う』と言っていただきます」
お肉専門店としてのトータルな提案力も同店の魅力です。
田村さん:
「お肉に合うようなワインも取り揃えていますし、オリジナルの焼肉のタレも開発しました。自社の肉に合うようなタレを作っているので、お肉と一緒にお買い求めいただければ、より美味しくお召し上がりいただけると思います。最近は改良を重ねて、さらに美味しくなりました」


お客様との継続的な関係づくりにも力を入れており、LINE公式アカウントでは様々な特典を提供しています。
田村さん:
「LINE公式アカウントに登録していただくと、年に2~3回抽選があります。また、週替わりで割引クーポンを配信しています。味付けの焼肉用肉などは、肉の質がいいものをお手頃な価格で提供しています。実際、その中にはとても良い肉が混じっていることもあるんです」
田村さん:
「ギフト包装では百貨店を意識した商品作りをしています。一般の精肉店でそういう百貨店レベルのギフト包装やおしゃれなパッケージがギフトとして使える商品を提供しているところは少ないと思います。景品や福利厚生向けの商品にも対応しており、塩たんネギ包みやローストビーフといった加工品も人気です」

また、店舗には隠れた逸品もあります。
田村さん:
「自家製のキムチも実は隠れた逸品で、ファンが多い商品です。お肉と一緒にお買い求めいただくお客様も多く、リピーターの方からは『このキムチうまい』と好評をいただいています」

舞鶴の本店に加えて、福知山にも店舗を展開し、より広いエリアの皆様にサービスを提供しています。両店舗とも同じ品質基準でお肉を提供し、地域の食文化を支えています。

福知山にある店舗
創業から長年にわたり地域に愛され続けてきた「お肉ソムリエのいる精肉店ABCフーズ」。お肉ソムリエの専門知識に基づく厳選された食材、職人の技術による丁寧な加工、革新的な瞬間冷凍技術、そして何よりもお客様一人ひとりに寄り添った接客で、今後も地域の食卓を豊かにし続けていくことでしょう。スーパーマーケットでは決して得られない、プロならではの知識とサービスを体験してみてはいかがでしょうか。
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